昨夜は、ジェレミーとデビッドの誘いと招待による夕食だった。フラットに渋滞で少し遅れてではあったが迎えに来てくれて、市内中心地のフランス料理店に一緒に行った。隣のテーブルには、科学教育分野のドイツやデンマークからの女性スタッフ・研究者が来ていた。 ジェレミーはフランス語に堪能で、ワインにも詳しい。デービッドは、アフリカ・ザンビアで10年間(1973-1983)中等学校教師をしてから大学研究職についたが、外国語は、あまり堪能ではない。
食事は、久しぶりに魚料理、フレンチの洒脱さがある。僕は、fish bream(鯛科の白身魚)に薄いホワイトソースをかけたものに細いパスタ・サラダ添え、白ワイン、デザートは3種類のアイスクリームとフィルターコーヒーを注文。ジェレミーデビッドもそれぞれ好みを注文。
9月の日本での体験、その他四方山話が出た。リーズ大学の教育学部の重要な改革策が提示された今週月曜日の会議についても、一定程度概要を聞いた。リーダーシップ・マネージメント政策によって、最大幅で5-6人のスタッフの削減が提案されているようだ。分野によって、政策適合的であるか否かが分かれ、それが明暗を決めていく。無論無抵抗ではないが、圧力は強い。とくに、ライフロング・ラーニング・インステイチュートは、リサーチ中心でないと生き残りが厳しい困難な局面になってきたとのこと。ミリアムの苦悩が察しられる。その後、フットボール(サッカー)など、楽しい話題になって、終わる。シェフィールドに住まい通勤するジェレミーは熱烈なシェフィールドユナイテッドのサポーター。(マンチェスターユナイテッドは天敵になる)一度観に行こうということになった。かれは、この日もシェフィールドに戻る。帰りは、デービッドが送ってくれた。
時間近くになってpcを閉じる。歩きで帰る時間を計算に入れてだ。
フランス料理店横で、ジェレミーとデービッド。
次は、LLIがある、EC-Stoner Buildingの建物。英国一長い廊下が走る。冬季は移動が楽だ。その次は、東南アジア研究センターと生涯学習センターのある建物。ややアジアンテイストの建築物だ。生涯学習センターは、事業実施部門で、リサーチャーはいない。その統廃合がささやかれている。
下は、講義ホール棟横の噴水、後方は生化学、生物物理などの研究棟、右は一般教育講義棟。最後は、今朝、宿舎中庭のリスを写したが、動きが早く映像がブレている。
以下は、参考のために。近時の英国大学改革動向メモ。
この地の大学は、サッチャー時代の1988年教育改革法、メージャー政権での1992年の高等継続教育法、90年代後半、とくに1997年のブレア政権以降からのデアリング報告、その他政府緑書、白書のラッシュ、2004年の高等教育法、さらに2007年のブラウン政権以降も引き続く改革の嵐に見舞われている。
そのおおまかな特徴は以下のようになろう。
①特権的パブリックスクールの保持は、同時に特権的大学の保持ではある(例えば、ケンブリッジ大学の入学者の41%、オックスフォード大学の47%はこれら特権的私立学校出身。2007)。金融界、政界、などの支配層の出身学歴母体は、殆ど変化していない。例えば、オックスフォード大学での入試の不公正が、公立学校出身の女子学生に告発されたことがあった。(彼女は、オックスフォードをけってハーバード大学に入学)
②同時に、他方でポリテクニックの大学化と参入による劇的な大学数の増加、大学間の競争的環境の拡大(リーグテーブルでのランキングの公表)による大学文化の変容。
③オックス・ブリッジとロンドン大学を除く主要な旧大学(マンチェスター、リバプール、リーズ、ノッテインガム、シェフィールドなど)などでは、旧来の法学、医学、自然科学、人文学などの純粋アカデミックな分野構成だけでなく、この間工業・技術・応用・ハイテク分野を大きく拡大してきた。
④新大学は、社会的ニーズに対応した新たな実践的応用的学問分野を拡大してきた。(例えば、医療、福祉、看護、コンピュータ、デザイン等々)
⑤増大する学生の私的経費負担を欧州では先駆けての学費導入で実行してきた。例えば、わずか数票差で成立した2004年高等教育法では3000£までの上限。(2006年9月以降学生生活を始めた学生は2008年現在、3145ポンド、それ以前の学生は、1255ポンド)
この導入は主に、イングランドとウエールズであり、スコットランドは無償を保持。ただし、親収入が低い場合の学費免除、国の直接貸付による学生ローン、支払いの年収基準までに達しない場合の猶予、多様な奨学金、補助金の設定などの緩和策がある。これらは、全国学生連合組合や教員組合、TUCなどの反対、経済悪化による親からの批判をずっと生み出してきた。
⑥在学学生の在籍率拡大(widening participation)とその数値目標提示(2010年が最初の到達目標年)は、この国の高等教育人口の拡大、世界での位置づけの大きな変化をもたらしたが、他方では高等教育の格差構造は拡大する方向にあり、何のための高等教育人口拡大か、学位のありかたなどに議論を広げてきている。
⑦高等教育の多様化政策(学位、デイプロマの多様化)と継続教育との接続化(職業技術資格と学位 デイプロマとの互換性拡大)ただし、政府の財政政策は、継続教育における職業技術習得に傾斜しており、資格付与に結びつかない、リベラル教育(教養、政治、教育など)を提供する高等教育カレッジは、予算削減によって危機的な事態に追い込まれている。
⑧競争的外部資金の選択と集中配分におけるRAE(1986年から2001年までは5年毎、その後再編して再開)での競争的評価やRCによる評価など、大学評価による資金獲得は、大学ステータスのベンチマークになり、激しい大学間競争を引き起こしてきた。
⑨産業資本・企業と大学の連携拡大や大学間コンソーシアムの形成が大きく拡大してきた。(例えば、white rose consortiumは、リーズ・シェフィールド・ ヨークの3大学の連携によるヨークシャー地域の研究技術開発を促進させるために結成、ちなみに名前はバラ戦争から。同様の事例は各地に。)これらの動きもまた大学文化を変動させている。
⑩マネージメントとリーダーシップの近代化による大学統治の革新=vice chancellorやpro vicechancellorの権限拡大。学位取得者の拡大、経営的手法の継続的革新、大学への寄付金獲得の促進、ビジネスクールなどアメリカ型プロフェッショナルスクールの新増設の動向増大。
⑪デパートメント(学科)や学部の統合と人材の集中的配置、人員削減。早期退職勧奨。大学職員組合の弱体化のための多様な攻撃。同時に不採算、政策に適合しない分野の切捨てや閉鎖の拡大。
⑫テニュアの廃止と、大学教員の流動化促進。プロジェクト資金などによる任用を限った非正規短期契約(任期制)教職員の拡大。
⑬教育面でも競争的資金の導入(educational competition)。教員評価の詳細な設定と処遇評価。
⑭欧州のボローニャプロセスについては、学位取得年限、教職員の資格基準、大学施設設置基準などで、既に達成しているとの自己評価もあり消極的だが、国内学生よりも高額な学費収入効率の高い外国人学生のリクルートは積極的、
など等である。
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