12月21日(日)
この日にキースがもう一度ヨークシャーデール(国立公園)を歩こうと提案してくれていた。彼は、この夏にも、連れ合いのスーザンと5泊6日で、ヨークシャーデールを120キロも歩いたりする健脚家でウオーキング愛好家だ。もっとも、日本の百名山に登るのが中高年者に多いように、この国でもウオーキング愛好家は中高年が多いようだ。
残念ながら、この日は冷雨が一日中降るという予報だ。まあ、行ってみないと分からない。キースは、少々の雨ならば歩くと、予備のパーカーも2着用意してくれていた。彼の車で、宿舎前から、昼前11時に出発する。途中、米軍の大きな通信基地(反戦のデモや、人間の鎖の運動もかつては盛んだったようだが)を抜けて、ヨークシャーデールの入り口に着くが、どうもこの雨では、細君の靴では、歩くのは無理そうだとキースは、判断した。
もっとも、この日の雨ぐらいだと、タフな健脚家で身体頑強な人は、冬でも、半ズボン姿で歩いている人もいるとキースがいう。まさか、本当かなと一瞬思ったが、実際にそういう人も眼にしたのでやはりタフな人はいるものだ。
キースはそれではウオーキングは又の機会にと言って、代わりに、日本人では、そのような経験を持つ人はほとんどいないであろうからとヨークシャーデールの西北部分を小さな村や放牧地、山間を抜けての一周ドライブにしようと提案してくれた。距離にして、約200キロほどだが、狭い道も多いし、丘を抜けたりカーブも多いので、時間にして4ー5時間ほどのドライブになるだろうという。A道路(日本で言えば国道か?)は通らないが、BないしC道路(県道や郡道に相当)を走っていくことになる。両側に広がる牛や羊の放牧地を見ながら、アップダウンあり、小さな川縁あり、途中途中に50-100戸程度の村があり、凡庸な言い方だが、それはそれは絵になる風景が広がる。
ご覧になった方もあるだろうが、映画「カレンダーガールズ」の撮影場所になった民家そばも通る。映画では、クリスとアニーという主人公の女性たちが登場する。実は、アニーの夫が白血病で死んでしまってアニーが気落ちしてしていたときに、クリスたちは、白血病から人を救うために、アニーの夫が入院していた町の小さな病院に寄付をする目的のために、ヨークシャーの田舎の中年女性たち(婦人会メンバー)がネーキッドになってカレンダーをつくることを思いつく。売上金や寄付で基金を集めるというアイデアだが、このことが全英中の話題となり、ついには米国ハリウッドにも行くという実話に基づく映画だ。http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD4391/
http://www.movies.co.jp/calendargirls/index.html
さて、英国イングランドにはほとんど山はない。しかし、ヨークシャーデールには一部急峻な丘陵地があり、年中厳しい風が吹き抜けていき、樹木が育たないような「嵐が丘」が存在する。また、一部にはロッククライミングに適した岩山や途中から水があふれ出す滝があり、そうした水の浸食から生じる鍾乳洞も各所に存在する。この日は、そういう急峻な丘をいくつも抜けて行った。
また、英国の風景画で著名なターナーの絵とまったく同じ構図の風景が、それこそ、ほとんど変わらずに残されている。
例えば、次の絵のように。
Addingham Mill on the Wharfe, West Yorkshire
ドライブコースをもう一度記すと以下のようなことになる。
まずは、River Wharfeを渡り、Swaledaleを抜けて,グラシントンに少し立ち寄り、急峻なBuckden Pikeのそばを通り、再びRiver Wharfeの下流に戻ってきて、最後はBolton Abbeyに立ち寄り、Skiptonを抜けて、リーズに戻るというコースだ。
途中で軽食をとったパブ=イン、クリスマス前で働いているのは東欧の若者たちだ。(リトアニア、スロベニア、ポーランド)この地域の地名や事物の名には、ヴァイキングの侵攻があったせいかノルデイック由来のものが多い。
夕刻リーズに戻ってから、いったん宿舎で休憩した後、キースが迎えに来てくれて彼の家での夕食となる。スーザンの手作りのクリスマス料理。食後は、彼らの国際的スケールを示すかのような様々な国のコレクション(アフリカ、インド、南米、など)である、置物、絵画、彫刻、布地、それに彼らの旅行写真などを見せてもらう。キースとスーザンはこの日の2日前までは、西アフリカのガンビアに3週間弱出かけてきて戻ったばかりなのに、本当に親切に案内していただいた。彼らの好意と友情心には言葉にならないくらいにいつも心が動かされる。
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