朝一の講義で、TAのK君に印刷物を事前に渡しておくのを先週の忙しさで失念。今日は、藩基文(バン・ギムン)国連事務総長の特別講演会があるとかで構内は厳しい交通規制があると事前連絡がされていたことを思い出した。どうやら、車での入構は止めておいた方が良さそうだ。雨模様になりそうな天気で、自転車もよした方が良いだろう。ならば、資料の印刷時間、講義室までの移動時間を考えて早めに家を出るのが肝心。7時少し過ぎに、地下鉄で大学に向かう。(昨夜は、いくつかの仕事整理があり、あまり寝ていないので、眠い。)
印刷を済ませ、いくつかメールチェックを行う。PCや資料を持っての移動なのと少し距離がある建物での講義なので、部局の自転車を借りて、移動する。すると、10メートル間隔でガードマンの方々が立って交通規制をしている。ここでは、さすがに警官隊はいない。しかし、ものものしい。自転車を駐輪させ、ロックしようとすると鍵が抜けない。どうも壊れてしまったようだ。携帯に連絡が入り、TAのk君は、構外の交通規制で、信号が変わらず、動けないという。了解したのであせらず、来てくださいと応答した。
授業そのものは、今日は、こちらからあらかじめ幾人かに質問を投げかけ、答えることから始めた。パワーポイントのスライド資料とハンドアウト資料の併用だ。受講生の応答は、まずまずだ。感想文も、比較的好意的だ。視点をずらすことで広がる視野があること、案外と自分がもっている知識や考えが、つまらぬ常識や思いこみで歪んでいる認識であることを、多様なデータや新しい情報ではたと気づかせる。ま、そういったところがねらいだ。先週は、ゲスト講義を設定して、若手研究者で、僕のところに帰属している中国と韓国のポスドクの留学生のお二人に、それぞれの文化、社会、教育事情をお話し頂いた。これまた、受講生の認識枠組みの意外性をついたようで好評だった。
講義終了後、やっかいな事態発生。乗ってきた部局の自転車の鍵がこわれて、ワイヤーロックが外せない。事務の方にワイヤーカッターを借りた。K君は、警備厳重な中、そんなものを持っているとまるで不審人物ですよと言う。たしかにそうかもしれないな。しかし、ワイヤーを切断するしか、自転車は動かないのだからと最終判断。やってみると、簡単に切断できるのでびっくり。プロの自転車泥棒は案外こうするのかもと思ってしまった。鍵をこわして返すのもまずいので、その足で、生協の購買に行き、新しい鍵を購入。結局、1000円の高い自転車借り賃になったが、致し方あるまいか。
午後も、もう一つ講義があり、これはこれで、資料を吟味し、エピソードを多く入れて、わかりやすいように話した。多少難しくなると、いつも一人堂々と眠る学生がいるので、その一人を今日は眠らせない内容をと考えたのだが、その点では今日は勝利した。(やったね。)
午後の講義後、次週末の日韓シンポでの僕の報告原稿のハングルへの翻訳で、留学生のCHさんが来室。いくつかの用語や意味内容の確認を行い解決。また、関連して、来室された、同僚のSさんややはり専門研究員の留学生のSMさんとシンポジウム当日とその前後の日程の行動と段取りなどの確認を協議。何度も、こういう協議を重ねて、いくらか開催の見通しがついてきた気がする。
帰宅前に、いくつものメールの応答を行う。これは、毎日の面倒な作業だが、省くわけにはいかない。明後日の委員会の議事確認やいくつかの個人的な通信のやりとりを済ませて、最後に、英国の研究者には、9月来日の際の学校訪問調査の確約をとれたこと、ホテルの予約が済んだこと、訪問調査の質問項目と記念講義の内容・タイトルについては、あらためて知らせてほしいことを返信する。そういえば、今月早期退職をする英国のK氏に、挨拶を送らなくちゃと思うが、これは明日の仕事だ。
先週末からのタフな日程で、心身がよれよれだ。「名ばかり管理職」が批判されているが、こちとらは、「名ばかり裁量労働時間」で、へとへとだ。そういえば、この春の大学評価学会で、阪大の研究者の報告では、文科省のひそかな統計で、自然科学系2843時間(保健系3052時間、以下理学2926,工学2746,農学2788)、人文社会系でも2444時間(文学2375,法学2652,経済学2431)教育学2527時間という数字が出てきていることは、看過できない事柄だ。(平成14年、2002年、文科省調査「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」(承認統計)科学技術・学術政策局調査調整課)あまりにひどくて文科省もその数字を片隅においていて、知られたくないようだ。しかも1992年の総務庁調査と比べても、2002年のこの調査で増加しているのは、研究・教育時間ではなく、運営などの書類作成・雑務時間、社会貢献時間である。社会貢献は良しとしても、研究・教育が減って、しかも総労働時間が増えると言うことは何なのだろうか。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/11/03110601.htm
大学評価や認証評価には、こうした生身の働いている人間の労働時間に関しての調査項目がないことが、まさに評価する主体の非人間性を示すもので、おかしいという指摘があったが、激しく同感するな。
帰宅途中では、相変わらず本州から派遣された機動隊の皆さんが、いたるところで警備の鋭いまなざしを注いでいる。ご苦労様だ。写真を撮りたい誘惑に駆られるが、変に挑発することになりそうなオーラというか、そういう臨戦的な気配に満ちているので、これは止めた。
代わりに、家の近くのマンションの管理人の方が朝夕とまめに手入れされている路地の花々を写して心を和ませることにした。
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