11月22日 土
週末、天気予報に間違いはなく、寒い。
来週のシェフィールドでのサッカー観戦(フットボールマッチ)の防寒のテストを兼ねて、世界遺産(world heritage)の一つである,Saltaireへ行ってみることにした。英国には、文化遺産と自然遺産を併せて27もの世界遺産があり、英国人に聞いてもいくつあるか正確に知っている人は少ない。http://www.chireki.com/heritage/sekaiisan.php?site=gb
ソルテール駅は、リーズからスキプトン行きのノーザン鉄道に乗って、シップリーの次で2駅目。往復で2.7ポンド。世界遺産のひとつにに行くのに、これは近くて安い。降りて、博物館になっている工場跡地、デビッド・ホックニーの美術館、織物、絨毯などのショップ、男性用テーラー、美術系の書店、2つのレストラン、骨董品店、宝石店、など色々なショップが入っている建物などを見て歩く。
結局消費したのは、ソルテール関連の本やデビッド・ホックニーのヨークシャーの連作絵はがきセットである。それに博物館内部のレストランで食事する。絵はがきや本で30ポンド、大したものではないのに、食事が17ポンド。これらはやや高いかなという印象。デビッド・ホックニーは、ウイキペデイアを見ると、<20世紀~21世紀のイギリスの画家で、現在はアメリカ合衆国・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点として活動する芸術家。20世紀~21世紀のイギリスの具象絵画を代表する1人である>とある。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%83%BC
確かに、East Yorkshireの夏の風景画は気持ちの良い、具象画である。セットの絵葉書は、それで購入したのだ。ホックニーは、60年代以降は、米国暮らしのようだ。博物館では、彼が実際に創作にいそしんでいる様子がDVDで放映されていた。
この日は、知識が乏しかったので、ソルテール(日本では、ソルテイアと表記されている場合もあるが、こちらの発音ではソルテールだ。)の修復保存された工場跡地だけを見たが、むしろその周りの小さな集落や、自然がすばらしいという。それを散策しなかったのが、惜しまれた。それらを含めてユネスコが世界遺産に指定したのだと、ミリアムは、帰ってきて話したら教えてくれた。
僕は、以前に、ロバート・オーエンの産業資本家としての利益と社会改革の生産的実験場(工場労働者や子どものための性格形成学院設立、世界で初の保育園、など環境の重要性を実際に立証した。)だったスコットランドのニュー・ラナークの工場跡に二回行ったが(1984年,1993-4年?)、これも「世界遺産」に指定されており、すごく印象的だった。渡辺義晴先生の訳本で若き日にオーエンを読んだ記憶、岩波文庫のロバート・オーエン自伝も教養部時代に読んだ記憶があり、空想的社会主義者、協同組合の創設者の一人というイメージとその工場跡地の博物館とがうまくマッチしていた。ニュー・ラナークの博物館は、90年代に改善され、テーマパーク風の趣向もこらしていた。84年のときは、まだ窓ガラスが割れていたり、時代に取り残された産業革命時の建物跡という雰囲気だったが、90年代以降は、観光地としても位置づけられて、たしか賞もとっていた。そこでは、小さなトロッコに乗っていくと暗闇に入って行き、アニーという女の子が3次元ホログラムで現れ、オーエンの時代当時の様子をスコットランド訛りの英語で物語り、そういう光景が次々と現れてくるという趣向は魅力的だったし、実際のクロイド川の水力を利用したプーリーが動き、綿織機械が保存されていた。そういう意味では、同じ産業革命時の建物を生かして現代によみがえらせるという点では、ニューラナークの方がもっと歴史的にも博物館としても趣の工夫をしていたように思えた。
ソルテールの方は、その意味では素朴である。これは、ヨークシャー人気質なのかも知れない。Titus Salt(1803-1876)という工場主が、この建物の所有者だった。彼は、時代の潮流たるビクトリア時代の大英帝国の発展の気運をつかんで当時としては大規模な毛織物工場をつくり、さらにその高級化につとめた。それが当時のブラッドフォードの繁栄をもたらした。たとえば、人口が当時としては大きく10万人を超えた。ずいぶんと後年に、日本の御幸毛織などがこの地で買い付けなどをしていたと聞く。それは、繁栄の名残だろう。そして工場の建物そのものが19世紀の典型的な産業建築物として良好な状態で近年まで維持保存され、それが今は、ユネスコの世界遺産の指定を受け、博物館になったという訳だ。しかし、建物だけを見ていたのでは、正直、なぜこれが世界遺産なのだろうかという、少し拍子抜けした気持ちだった。ミリアムの先の解説を聞いて、ようやく納得した次第である。レストランの食事で体は温かくなり、午後早めにリーズに戻り、リラックスした時間を過ごした。
確かによく保存された毛織物工場跡ではある。
夕刻に新聞記事を見て
前日のガーデイアン記事で、米国の世界覇権も陰がさして落日の気配。EUを含めて西欧社会の民主主義が優位である時代は終わり、2025年までには、世界地図は一変するだろうという記事。そうかもしれないとは思う。2025年、僕は75才。果たして生きて見届けられるか。
11月23日 日
日本は祝日で明日も振り替え休日という。
明け方、雪交じりの氷雨だったようだ。雪が少し残っている。
宿舎係コーデイネータのエドに追加ラジエター型ストーブを頼んで良かった。洗濯物が、それの上にのせて良く乾く。
朝、食事後、久しぶりにパジャマも洗う。普段着用のズボン(チノパンツ)が一つしかなくこれが難儀だ。
午後クリスマスセールに誘われて、街に出て、いくらか買い物をして散財する。やはり、街中は人が多い。ま、何を買ったかは、書かなくてよいだろう。帰りに中華食材店で、和食用のいくらか足りないものを買っておく。
ニュースで、ブラウン政権は、税制改革を行い付加価値税を下げ、高所得者の税を引き上げ、貧困者や小経営者には税補助を行うという。保守党は、ブラウン政権は人気回復のためのギャンブルを行ったと批判している。果たして、世論はどうなのだろうか。
夜、"University to Uni"を幾らか読み進める。
11月24日 月 明け方冷える。上階の住人が早朝4時頃から音楽を流し始め、眼がさめて仕方なく、また本を読み始める。
今朝も歩いてきた。
大学近くのパブの一つだがネーミングがユニークだ。
メール応答は今日は比較的少なく助かった。今日は、午後は、残った日本の仕事とプレゼン用の仕事を進めよう。
The Free Libraryという名の図書館がもともとあって、それをパブが購入して名前をThe Libraryと名乗っているのだろうか?
誰かに聞いてみたい一つである。
再び、ソルテール関連の写真を載せておこう。
工場跡地の構内。
やはり、書店にはデビッド・ホックニー関連のもののほかに、多くの作家、画家の美術関連の本が多い。園芸、クッキング、地域史関係のものも多い。絵画集などの本は意外と安いが、重くて日本に送るには郵送料が高くつきそうでやめる。
今回は写真がたくさんあって楽しかったです。個人的には教会の様子が知りたいのですが、リーズにはいくつくらいどんな教会があるのでしょうか?
投稿情報: misawa | 2008年11 月25日 (火) 02:16
キリスト教会は、無論たくさんあります。日曜には、教会の鐘の音がいろんなところから聞こえてきます。キリスト宗派は、無論たくさんあり、僕にはその違いなど詳しい知識はありません。英国は、多数の民族出身の人が住んでいる多民族・多文化・多宗教国家なので、互いの宗教宗派や信仰問題はあまり公的な場では話題にしないようです。ごめんなさい。リーズの教会数は今は分かりません。
投稿情報: 北の光 | 2008年12 月 1日 (月) 22:58