12月13日 土曜
天気予報の通り、cold and greyの天候。
世界的経済も、cold and greyの天候だ。米国は、サブプライムローンに引き続く実体経済、とくに3大自動車企業(GM,CHRYSLER,FORD)の業績悪化、イラク・アフガン戦争の巨大な軍事費のツケによる国家財政危機が、深刻度を増している。株価の暴落、ドルの世界基軸通貨としての失墜は、世界の国家経済と企業に大激震を与えている。
当地でも、欧州の優等生のドイツの経済不況と失業率増大、アイスランド、アイルランド、スペイン、英国などの銀行の倒産危機や国有化の動き(例えば、アイスランド)が、多く報道されてきた。とくに英国は、ポンドの為替価値が下落して、ここに来てユーロとポンドの比率が接近して1 GBP = 1.11846 EURにまでなっている。(1月13日)円とポンドも1ポンド140円台になってきた。(昨年は1ポンド270円のときもあった)GM傘下のボクスホール(VAUXHALL)は、業績悪化が深刻だと報道されている。英国からの海外旅行は、いずれも昨年比で、数十パーセントの価格上昇で、これまでのブームに冷水を浴びせている。
街に出てみると、こちらの1£ショップ(日本の100円ショップのようなもの)や、Woolworths.UKの倒産セールには庶民が多く押しかけている。高級ショップへの富裕層の購買力は落ちていないが、中産層の買い控え、庶民貧困層の困惑は大きいようだ。ポンドの通貨信用性が落ちて庶民はクレジットカード使用を控え、現金で買い物をする例も多いようだ。(1-2ヵ月後の引き落としの時期の通貨下落不安から)それでも、年に一度のクリスマスだ。楽しみにしている子どもたちへのプレゼントは、皆工面しながら用意している模様が伺える。(TVプログラムでは、車、雑貨、電気製品などの品質比べが盛んだ)。
憂さを忘れるかのように、クリスマス音楽の番組や家族で過ごすクリスマスの宣伝が盛んだ。
また、英国の無名の歌手をスターに押し出す番組The X Factorのファイナルには、1200万人が視聴し、800万人がその最終候補選考に投票したという。僕は、この番組での4人の審査員の中でも、ひときわ光るSimon Cowell の皮肉を込めたサビのきかせかた、冷静で適格な評価に、人々は賛意を与えていると思った。政治家は、この800万人もの投票人気の熱狂の秘密を知りたいようだ。(文末の新聞記事と写真を参照)
さて、当地ばかりではなく、日本経済も深刻な米国からの影響を受けて、輸出産業の二大柱たる自動車産業と電気製品産業の急速な失調(北米輸出の激減)が報道されている。トヨタの次年度収入見込みがマイナス70%で季節工や短期人材派遣企業の人員整理の拡大、ソニーの世界での人員整理が8000人、CANONやPANASONIC,などでも同様な首切りの動きがこちらでも報道されている。ネットを見ると、新卒採用予定の内定取り消しの続出が相次いでいるとのニュースが目に付く。また、国会では、人材派遣企業からの労働者の首切りを止めよと質問が社民、共産から出ているらしいが政府は企業の良識を期待と実質企業の行動の黙認と読める動きがあるようだ。
予想されたように、その人格、智力、政治能力が当初から疑われていた麻生内閣は死に体・末期症状で、国会解散が必至だということも手に取るように分かる。YAHOOやNIFTYの検索ヒットの記録更新が、業績悪化予想企業一覧だったりしているようだ。米国、韓国、ドイツ、英国などいずれの国も、国家が金融介入、あるいは企業への貸し付けを行って、危機回避に懸命に努めているが、根本的な解決にはならない模様だ。ある意味では、資本主義の構造的欠陥と、この間の米国一遍倒の世界システムの破綻がここにきて一挙に露呈している。
僕は経済学は素人だが、数学的シミュレーションの合理性にこだわってきたマクロ経済学や新自由主義的マネタリズムがその無能ぶりをさらしているときに、またここにきてケインズ経済学の復権が叫ばれているときに、こうした事態への本来の専門家たちとくにマル経の学者たちこそが現代経済研究分析と進路の方向を指し示さなければ(マクロだけではなく、ミクロレベルまで)、またその真価を発揮しなければ、それこそ対抗的な価値としての存在意義が問われる時代になっている。
状況に警鐘をならした湯浅誠の「反貧困」、堤 未果の「ルポ貧困大陸アメリカ」(いずれも岩波新書)やNHKスペシャル「ワーキングプア」などの現実直視の上に、いかなる解決の処方箋を示すのか。これは、ひとり経済学だけではなく、社会諸科学の力量が問われているということだろうか。
The X Factorの優勝者は、Alexandra Burkeであった。日本の無名の人材でこういう力量をもつ人を見たことがない。POP音楽のことを語る資格がぼくにはないが、日本の音楽界はこういう興奮をもう組織できる環境にはないのかもしれない。ネットで見た、一時期の栄華を誇った小室某なる音楽プロデユーサー兼作詞作曲家の末路は哀れでみじめな限りだ。
とおりがかりのものですが・・・Simon Cowellはイギリス人ですよ
投稿情報: いなご | 2008年12 月26日 (金) 19:44
・<Simon Cowellはイギリス人ですよ>
はその通りでした。英国人の友人が言っていたのでアメリカ人と思っていました。チェックするとBrighton,East Sussex生まれの英国人でしたね。アメリカのポップアイドルや音楽産業にも関係しているので、そう思われている節があるようでした。
投稿情報: 北の光 | 2008年12 月29日 (月) 07:20