5月は、五月晴れのような日々であってほしかった。だが、この地はいささか寒く、曇りあり、雨あり、時々晴れというような日々であった。心模様もそのような日常的起伏に左右される日々だった。
備忘録
5月23日(月)
午前は学部講義、午後の院生指導は指導院生の都合悪くキャンセル。その分、事務案件の決裁処理。夕刻部局の会議。
5月24日(火)
大学に行く前に歯医者に寄る。午前は事務打ち合わせ。
この日は朝早く起きたせいか、自分で弁当をつくった。自分をほめてやろう!?
午後、学部講義と留学生向けの授業。その後もあわただしい。
5月25日(水)
午前は、院ゼミ、午後次週の全学的会議の用件で、主催されるK先生がわざわざ来室される。恐縮の限りである。夕刻は、大学院の共通講義。二人の教員の担当で、僕の担当はこの日まで。7月には4回、院生のプレゼンが予定される。
5月26日(木)
朝、1限時を使っての会議。重要案件の審議があった。その後、大学院の調査実験(修論指導)、
部局前の花壇では、つつじが満開だ。
午後は学部ゼミ、この月の半ばから少人数でもあることから、4階の僕の研究室で演習を行うことになって、この時間は部局長室から移動してやや解放された気分になる。終了後の事務案件を片付けて、夕刻には、急いで歯医者に行く。
5月27日(金)
この日から、日本教育法学会大会で新潟に行く。交通の便を考えてか、主催大学側(新潟大学)が便宜をはかってくれた。前夜のシンポは、駅南キャンパス(サテライト施設)、28,29日の研究大会は、旭町の医学部キャンパスを使うことになった。前回の新潟大会は、海岸砂浜沿いの五十嵐キャンパスで、ずいぶんと遠かった記憶がある。
理事会に続く、前夜のシンポは、「「日の丸・君が代」訴訟の現段階と課題」と題して、有益な報告が続いた。
加藤文也(弁護士)氏の「国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟(予防訴訟)の意義と到達点-東京高裁平成23年1月28日判決の内容と問題点を中心に-」、戸田綾美(弁護士)氏の「処分取消訴訟の到達点」、中川律(宮﨑大学)氏の「良心の自由論と教育の自由論の課題-国旗・国歌起立斉唱訴訟控訴審判決を素材に-」、安達和志(神奈川大学)氏の「「不当な支配」禁止と裁量統制」、市川須美子(獨協大学)氏の「東京日の丸・君が代裁判と訴訟の形式」と、角度を変えての5人の濃密な報告がなされた。司会コーデイネートは、開催校の成嶋隆、世取山洋介、両氏であった。
知られるように2003年の都教委による君が代への起立を求める通達(10.23通達)は、石原都政の意向を受けてのそれまでにない新たな教員統制への踏み込みを示すものであった。当然ながら心ある教師たちは。それを自らの良心と子どもの教育、教育の自由への野蛮な介入と考えて、その不当性を訴える集団訴訟が起こされた。しかし、この間には、憲法19条解釈をめぐって、君が代伴奏を命ずる職務命令は、違憲ではないとする2007年2月27日のピアノ裁判最高裁判決があった。この解釈には多くの批判、反論が寄せられたが、裁判への影響は大きいものがあった。そして、今年に入って、相次いで出された東京高裁の3つの判決があった。すなわち、①2011年1月28日「義務不存在確認訴訟控訴審判決」(都築裁判長)、②2011年3月10日「戒告処分等取消請求訴訟控訴審判決」(大橋寛明裁判長)、③2011年3月25日「停職処分取消訴訟等請求訴訟控訴審判決」(加藤新太郎裁判長)である。この日のシンポは、これらをどう読み取り、論点を明確にするかが論じられた。詳細は書かないが、示唆を受けた点は多かった。また、自分のこの間の考えも、この論争上からはずれていないことも確認できて有益であった。
終了後、幾人かと懇親会に出かけた。N弁護士、Kさん、Fさん、AWさんたちとであった。
教育法学会の定期総会は、28日から始まった。
左は、自由研究発表の様子である。3つの部屋に分かれたが、僕は主として比較研究を行っている部会に出た。「イギリスの学校理事会と民主主義」「韓国における教育規制緩和立法の現状と問題点」「高校生の貧困問題」「現代中国の教育格差と教育・学習の権利」が、報告タイトルであった。それぞれに興味深く、質問もしたが、ここでは詳細は書かない。
左は、研究総会で挨拶する市川須美子会長。
そして、研究総会では、三輪定宣氏の「義務教育費国庫負担法の歴史、現状と課題」、白藤博行氏の「「地域主権改革」と教育行政」が報告された。三輪氏の報告は、氏の研究の総集編ともいうべきエッセンスが込められ、展望において示唆的な精緻な報告であった。白藤氏の報告は、この間の地方分権・地域主権改革の(教育)法的問題構造を析出する内容であり、一部に異論があるとはいえ、僕にとっては有益な報告であった。
終了後の学会の懇親会、その後、二次会には、白藤氏を囲んで、かつての研究仲間で慰労会を行った。地の魚、酒のおいしいお店だった。白藤さんを囲んで、憲法学のTさん、Nさん、教育畑のTBさん、それに僕だ。故室井力先生、故長谷川正安先生、故鈴木英一先生、故小川利夫先生が取り持つ縁なのかも知れない。多くの議論がなされて有益であった。後半には、憲法学のAさん、公法分野のMさんが加わってにぎやかな会となった。
二日目は、午前は「教育財政と教育費」の分科会に出た。早田幸政氏(阪大)の「高等教育財政の現状と課題」、樋口幽美氏(ゆとりある教育を求める国の教育条件を調べる会)の「義務標準法の役割と2001年改正以降の教員配置」の二報告であった。前者には、興味深い面もあり質問もした。後者は、専門外であるが、示唆的な面も多くあった。
午後は、公開シンポジウム「教育格差と教育・学習の権利」3人の登壇者があった。渡部昭男(神戸大)、佐貫浩(法政大)、成嶋隆(新潟大)の各氏である。ただし、帰りの飛行機の関係で、僕は佐貫報告を聞いて、その後会場を後にした。
台風が西日本に来ているとのことで、雨模様になってきた。
北に向かう、飛行機は台風の影響もなく順調なフライトであった。雲海を渡り、1時間も飛べば、北海道の大地である。
気温は、まだ低い。この時期の移動はいつも温度差に悩まされる。今回もそうであった。
週末の旅を続けて3週目だ。あと2週も同様だ。無理せずにmy wayだ。
コメント
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