12月22日
この日は、朝近くの郵便局から最後の小包の発送。その後、大学に出て、Jasに細君が持ってきた土産を渡し、細君の紹介の後に、研究室の鍵の返却を今日行うことを知らせておく。
研究室のPC使用が最後の日となるので、日英それぞれの様々な残務仕事、締め切りの迫っている研究生の研究計画のコメント書き指導、多くのメールでの応答を行うとやはり3時間はかかってしまう。帰り際に、キーをJasの郵便棚(pigeon hole)に返し、先週請求してようやく届いた宿舎の部屋代明細書をもとに新ビルに移っていまだ混乱が続いている会計窓口に払いに行く。案の定、コンピュータ接続の不都合で、機械が動くものが少ない。窓口対応は、クリスマスの家での仕事の少ないアジア系の事務職の人々がこなしている。長い列の待ち時間の後にようやく宿舎代を払って、気持ち的にすっきりする。
短期滞在中も、多くの社会事象の変動が世界各地に共時的に進行した。この国でも新自由主義経済政策と経済不況の進展の中で、貧困問題は、深刻な度合いを増して、EU内でも際だつ。それらは、子どもの貧困や学力差にも反映し、貧困層やアジア系、黒人系に不利益と格差をもたらしている。また、政府の学力増進政策は、若干の数値と順位を国際学力調査でもたらしたが、それと引き替えに、子どもたちの学習嫌い、学校嫌いが増大していることこそが問題だと報道は知らせている。 大学の経営とリーダーシップ強化の動きは、大学内の不協和をもたらし、個人主義的サバイバル競争が跋扈し、構成員の連帯や交流を阻害するものとなってきている。リーズ大教育学部は、つい先日のRAEの部局評価公開で、全英6位だったとミリアムは言っていた。その数字は悪くないが、しかし多くの葛藤と問題があることを彼女は述べていた。日本に戻れば同様のことが話題になることになろう。 かつての繊維労働者音楽ホール(今は音楽学科が使用) Jasの配慮で、先日のクリスマスパーテイの写真がコモンルームに貼られている。 研究室を後にする。70日間はやはり長いようで短い。しかし、この先このような形の滞在は、今の大学の置かれた環境と自分の立ち位置では絶望的に難しくなるだろうと考えると感慨深いものがある。
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