信州と名古屋への旅から戻ったら、またあわただしい時間の再開だ。そのなかに多少の騒がしさも加わった。
3月22日 (月 振り替え休日)
早朝のフライトで、中部空港を飛び立つ。前夜に、NHKからの北教組問題での取材申し込みがあったが、天候や札幌での学会との時間調整との関係で、返事を保留としていた。飛行機が飛べた以上、これでは、気が必ずしも進まないが受諾できそうである。
この日は幸い雲も少なく、座席を左に取ったので、富士山方面は見えないが、アルプスや日本海方面を見ることができた。眼下には、木曽三川を抱える尾張平野が見える。
日本海側を北上する中で、佐渡島がくっきり見えてきた。かつて、旅行したことがあるが、一つの島に多くの顔があるのが佐渡の特長だ。南はのどかだが、北側には冠雪した峰峰が見える。
さらに、津軽半島を横切り、苫小牧から新千歳空港へフライトは進み、定刻で到着。到着後、機外で携帯をつけると、NHK記者から電話があり、昨日の件だ。断る理由がないので、取材を受諾することにした。学会理事会終了後だ。
まずは、荷物を家に戻してから、大学に向かう。
車庫では、シローのお出迎えだ。しっぽをふって嬉しそうである。
北海道教育学会理事会に出席する。僕には、昨年の日本教育学会とのジョイントシンポのことや今年の進行、次年度の計画その他の案件があって、必要な発言を求められて報告もした。今回は、大会の自由研究発表などは生涯学習研究セミナーと重なって参加はできなかった。理事役員の改選結果報告があり、新たな会長には三上勝夫先生がなられた。
その後、NHKの取材があり、北教組の政治資金献金とK議員との疑惑に関して、僕なりの見解を表明した。その内容は、局での編集後、夕刻時間のローカルニュース及び7時からの全国ニュースで、その日のトピックス内容を構成する一つとして、ほんのわずかの時間放映された。
その後、知人などからいくつか反応があった。多くは賛意であったが、<メデイアにいいように利用されているのでは>との心配も寄せられた。その方には丁寧にお答えした。
今回の事件についての僕の見解は、この私信への返答を含んで、友人達にも送付した。備考として下記に付記しておこう。
新聞各紙やテレビ等で報道されているように、小林議員への政治資金提供問題で
北教組幹部の逮捕と起訴がされています。
事柄は、政治的事件ですが、本質において教育と政治との関係性を
問う問題であり、その限りにおいて僕にも取材がこの間されてきました。
道新、HTB、NHKです。HTBの報道は未見ですが、新聞は記事が載りました。
NHKは、長野県阿智村での現代生涯学習研究セミナーから帰る前日に、移動中に携帯に連絡が入り、取材申し込みがありました。
昨日札幌に帰り、北海道教育学会の理事会終了後に研究室に取材があり、夕刻の北海道枠のニュース及び、7時の全国ニュースにほんのわずかだけ、僕の話している姿が映りました。
(疲労で、さえないむくんだ顔をしていて、見苦しい限りですが、顔を変えられません!)
テレビ局で、編集されていますから、話したことのほんのわずかの部分、その部分的な発言では全体主旨がうまく伝わらないかな、誤解を招く恐れもあるかなとは思っていましたら、
Aさんから、ニュース放映後、下記の私信を頂きました。
同様の誤解をもたれる向きもあるかもしれませんので、
僕の返信を転載しておきます。
Aさんは良心的な北教組の組合員であると私には思われますし、色々な場で、とても重要な指摘をされてきて僕も啓発されたり、示唆されることが多い方です。
それでも、北教組問題ではある種の枠組み思考に縛られているのではと思う面が、僕には感じられました。しかし、北教組の問題は、僕のような外部者ではなく、組合員自身で解決されていくべき問題です。
従って、以下は、僕は、あくまでも原理的な問題を書いたつもりです。
<○(僕の名前)さんへ
ご無沙汰しています。
○さんのコメントが、マスコミにいいように使われているのが(大切なところが
カットされている)、残念でなりまりません。
北教組が日教組や社会党・民主党の中で果たしてきた役割は、外からはわかりにくい
と思います。でも、私は自分の仲間達も含め大きな自負を持っています。今回の事件
で、日本の教育労働運動が大きく後退することは間違いありません。教師はもとよ
り、子どもたちの権利も確実に後退するでしょう。
今、私は、小林多喜二のような気分です。>
これは、揚げ足取りをするようで、Aさんには悪いのですが、書かれている主旨が分かりにくいことも事実です。
「北教組が日教組や社会党・民主党の中で果たしてきた役割」は、外にいる僕にも良く分かるのですが、それが今回の事件によって、「教育労働運動が大きく後退する」とは単純にはつながるとは思いませんし、Aさんが何故「小林多喜二のような気分」になるのかは、理解に苦しむのですが、それはさておき、
下記のような返信を書いておきました。
皆様はいかがお考えでしょうか?
**********************
Aさま
メールありがとうございます。
○です。
ご指摘の半分はその通り、半分は違うかなという両面があります。
1, マスメデイアの発言加工と文脈加工はおっしゃる通り。取材している記者は、
大半はまじめです。センスも悪くはありません。ただし、報道される時間(テレビ)やス
ペース(新聞)の関係で
肝心なことが切り取られ、さらに別なところで要約されると脱文脈化が起きることは
これまでもあり、今回もあります。
ただし、部分であっても発言している当事者は同じですので、僕自身の責任を免れよ
うとは思ってはいません。
取材に応じるのは、事柄が重要と思うからです。それ以外に他意はありません。
2,今回の問題については、はっきりさせておきたいのは、
①組合が有する政治的活動の自由は憲法での権利を公務員、教育公務員も基本的に有
しているという点で
僕の意見は法学や教育法の世界での共通理解において変わりません。戦後改革期の労
働法制において、
公務員が不当に多くの制約を課せられたのは、日本の特殊な性格であって、世界の主
流とは離れています。
ILO/ユネスコの教員の地位に関する勧告等でも、教員団体等の労働・政治的権利
や活動は他の労働団体同様に認められていることです。
②従って、自民党の一部に見られた教特法18条を改正して罰則規定を設けるなどとい
うのは論外の愚案で、憲法の理念に抵触するものと言えます。
そういう動きには、僕は断固として反対します。
③北教組が過去に平和や教職員の権利において重要な役割を果たしてきたこと、日教
組内の重要なブロック組織として右傾化に抗してきたことなどは、何ら否定してい
るものではありません。
④ただし、北教組の運動手法は、僕には異論のあるものも多いのも事実です。
(国民合意を得ることよりも、国・文科省や道教委に対抗すべく、単純に政治主義的
に政策に抵抗する激しさを戦いの方法としたものが多い)
しかし、それは組合員の内部で民主的に解決していくべき事柄です。外からの批判は自由にし
てよいとしても、解決する主体は当事者である組合員たちです。
⑤問題は、今回の事柄は、そうした北教組の教育政策への運動方法などの是非ではな
く、組合が本来の組合員の政治的自由に制約を課して特定政治政党候補を支持するこ
とを強要し、カンパを集め、裏金に近いお金(出所が不明でまったく不透明)を用い
て、特定候補当選のために政治的献金を行ったことにあります。
これは、あるべき組合本来の姿からほど遠く、また組合員の政治的信条の自由を奪
い、かつ特定政党の利益提供支持団体化(ロビー団体化)することを示します。執行
部などの中には、医師会も、○○も企業内組合なども、政党支持をしているではない
かという議論もあるようですが、教員組合がそのような低い政治レベルでの応酬を行
うことは恥ずべきコトと考えます。
⑥組合と政治政党との関係は、組合が政治政党ではないこと、組合員がそれぞれに政
治的思想的多様性を背景として成り立つ多元的な組織であることを
前提として原点に立ち返るべきです。それは、特定政党支持ではなく、政策において
の組合の見解を明確にする努力をしつつ、各政党の対応を質問等で求めて、その結果
を組合員に情報公開して、各自が総合的な判断ができるようにするという方法など多
様な取り組みが考えられます。無論、個人がどの政党を支持するかは別であり、その
信条に従って政治活動を行うことは自由です。
⑦今回は、明らかにこの点で逮捕者を出すような、限りなくダーテイな(国民や組合
員に説明不能)事件であることを予想させ
(無論捜査中であり、その捜査結果の結論は保留しますが)、それが事実であれば、
歴史的汚点を残すものです。
これによって、日本の組合活動全般に対する不当な攻撃材料を提供し
、アンチ憲法、アンチ組合、アンチ平和の策動を許す材料になっていくこと
が、上記が事実であれば、今回の事件が犯した罪の最大の問題です。
また、子どもや、親保護者、国民からの教員(組合)への信頼を損なうことに荷担し
たことです。
⑧北教組はこの点を明確に総括し、国民に対して説明責任を果たすことが求められて
います。
以上が僕の個人的な見解です
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