玄関の花瓶のバラ(間違いでした。トルコ桔梗でした)も鮮やかさが今ひとつ。気温の変動が激しいせいか、まだ花々の季節はこの地には訪れていない。
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先週も、我が意に反して、駆け足で過ぎてしまった。
4月19日 (月)
午前に学部学生講義。午後は科研費の今年度計画作成書類に追われた。
夕刻からは組合執行委員会。討議が長く、11時近くの帰宅になった。
ゆとりなく、最近は昼は弁当を買っての研究室での仕事しながらの昼食風景に味気ない思いだ。
4月20日(火)
午前は、学部内の委員会会議。午後から学部の講義。2回目で何とか軌道にのりそうだ。
夕刻は、道教委の道内教職員の思想・組合活動調査の異常な強行に対する緊急集会があり、この種の集会には日程が多くは合わないことや、禁欲して余り出ることはないのだが、今回は気になって参加した。集会の場は、熱気にあふれていた。
詳しくは、この号の【追記】に書いた。
実際の学校現場の状況は、相当に危惧すべき事態が進行している。
例えば、友人のAさんからのメールでは、彼の学校で前日月曜日に行われた調査のリアルな状況が書かれていて、ぞっとする内容だった。
学校に民主主義の土壌が途絶えていくと、市民社会全体に大きな影響が出る。だが、周りの関心は今ひとつである。少しでも、実際の実情・事実を周知させる必要を感じた。集会後、夜道を帰る中で、思想信条の自由もままならぬ、密告が奨励されるような暗闇世界をつくってはならないと思った。
4月21日(水)
午前は、大学院ゼミ、午後は雑務等を行っていると、「イールズ闘争60周年・安保闘争50周年にあたって-その歴史的、現代的意義を考える-」の実行委員をなさっている手島繁一さん、哲学者の中野徹三さんたちが研究室に来られる。集会は5月16日に予定されている。
中野先生の著作は、若き日に読んだ記憶がある。『マルクス主義における人間の自由』(1977年)などもその一つだ。他方、マルクス主義やいわゆる政治的路線問題では、論争的な著作の多い方である。そういうイメージとは裏腹に、実際にお会いしてみると温厚で誠実な方である。
http://www.geocities.jp/tn1594/
手島さんは、かつて学生運動で全国的な部署を担われていたが、僕が学部か大学院の頃に、北大から法政大の大学院に進学されて、その後大原社会問題研究所で社会政策や協同組合運動の研究をされてきたと記憶する。
考えてみれば、イールズ事件は、大学の自治と学問の自由について、重要な事件であった。ただし、僕の理解はごく浅いものであったのか、梁田政方さんの『北大のイールズ闘争 その真実を明らかにするために』(光陽出版社、2006年)を読んで知ったことも多かった。と同時に、H大100年史の記述の誤りはその通りであった。また、イールズ事件に割いている頁数の薄さに、大学の姿勢が問われていると僕も思っていた。この日の、3人の方々との話でも、大学文書館に収集されている史料の少なさなど、大学の歴史に向き合う態度があらためて問題になるように思われた。
なお、この5月の企画は、近年その梁田さんを囲む会があって、その延長線上に発展してきたようだ。イールズ事件時代の世代、60年安保世代、そして60年代末の大学紛争とその後の70年安保世代の三世代の人々の大同小異の集まりとなるようだ。僕の希望は、これらが現代の大学が抱える問題といかにクロスできるか、そしてH大学の同窓以外の人々への普遍的な共感をいかに組織できるかであろう。単なる回顧でもなく、単なる同窓の集まりでもなく、単なる運動的エールの交換でもなく、今を生きる人々への強いメッセージを発信すること。そのことに期待したい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/kawaraban/31740.html
http://8605.teacup.com/keikoto/bbs/496
夕刻は、大学院共通講義。帰宅は9時半過ぎであった。
4月22日(木)
午前は、大学院の修論指導ゼミ。午後は、雑務の整理、2時半過ぎからは学部ゼミ。
さらに、卒論指導で、4年生の気持ちの引き締め。学部ゼミには、韓国の聴講生も参加して、日中韓の若者の構成になってきた。
夕刻は、この勢いをのせて学部の新歓コンパ。駅近くの居酒屋でのもつ鍋料理で盛り上がった。
4月23日(金)
前夜までの疲れか二日酔いか、午前は体調悪し。
午後、教授会。案件が多い。終了後、夕刻からは、新任の教員の方々の歓迎懇親会。直前に、道教委の教職員の思想調査、組合活動調査でのM新聞記者の取材があり、懇親会にはギリギリで駆けつける。終了後、二次会、三次会があり、同僚との研究の発展方向での議論を行う。
なお、この日の懇親会のクイズで歩数計をゲットする。娘にもらったものと同じく、我が体調(体重?)管理には役立ちそうである。
左は現在使用中のもの。右は今回頂いたもの。記録ダイエットは、一に、二に、継続あるのみなのだが。・・・
以下は、道教委問題の追記です。
まずは、資料。
1,毎日新聞報道
道教委の組合活動実態調査 「密告、賛成できぬ」 /北海道
◇市町村教委に疑問の声 現場への影響懸念
道教委が全教職員を対象に実施している組合活動実態調査をめぐり、市町村教委に波紋が広がっている。毎日新聞社が入手した道教委の内部資料では、市町村教委から「職員がほかの職員の行動を密告するような調査は賛成できない」などと調査への疑問の声も寄せられており、北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件を契機に始まった道教委の調査に対し、市町村教委にも不満がくすぶっている実態が浮き彫りになった。【中川紗矢子】
内部資料は、同調査をめぐって市町村教委などから出された質問と、それに対する道教委の回答。資料によると、調査の法的根拠や理由について説明を求める質問のほか、「年度当初の最も忙しい時期に実施しなければならない理由を教えてほしい」(宗谷総合振興局管内)▽「(調査結果の)活用をどう考えているのか理解できない」(オホーツク総合振興局管内)などと、教育活動外の業務増加への不満も伺える。
さらに、一部の管内では「職務命令が可能という根拠は何か」(空知総合振興局管内)▽「非組合員にまで聞き取り調査をするのは大きな不信感を招き、信頼関係を損ねる」(オホーツク総合振興局管内)などと調査そのものに疑問を持っているとみられる質問もあった。
これらの質問に対し、道教委は「文部科学省から任命権者として調査するよう要請があったことも踏まえ、学校教育に対する道民の信頼を確保するため、法令や学習指導要領に反する違法な行為や不適切な行為が行われていたかどうかなど、全職員を対象に調査を行うことにした」と回答している。
◇
4月14日付の「異議アリ!」で掲載した「道教委の管理強化 『事件』と学校現場は無関係」には多数の意見が寄せられた。「異議アリ!」では道教委が組合活動実態調査などを行う一方、札幌市教委は事件後も新たな調査を行っていないことなどから、識者や現場教員から道教委の調査に疑問の声が上がっていることを紹介した。
これに対し、北教組の組合員だという30代の教員は「違法献金事件で(北教組は)不明瞭(めいりょう)な部分があるが、どの教職員も現場では子どもたちのために奔走しており、組合員も純粋に教育と子どもたちに向き合っている」と賛同。一方で、「人事を掌握し、非組合員を『日干し』にして学校教育を荒廃させている。子どもたちの学力低下の原因にもなっている」と北教組を強く批判する元小学校教諭の女性もいた。
多数の意見や市町村教委の質問を読むと、学校現場での組合員と非組合員の対立や反発が伺えるが、今回の調査はそうした対立を利用した政治的背景がある。「異議アリ!」では「(事件の)被害者は大半の教員や子どもたちではないだろうか」と指摘した。市町村教委でさえ疑問の声を上げる道教委の調査で、学校現場の主役である子どもたちに悪影響が出ないか不安に思う。
【関連記事】毎日新聞 2010年4月24日 地方版
ニュースプラス:道教委の組合活動実態調査 姉崎洋一・北海道大学教授の話 /北海道
◇人間関係の崩壊も--姉崎洋一・北海道大学教育学部教授(教育法)の話
調査自体が問題を含んでおり違法性が高い。教育は人間関係で作られるのに調査は人間関係を壊してしまいかねない。教員の政治活動を規制するための証拠を集める意図があるのだろう。
毎日新聞 2010年4月24日 地方版
*文字数の制限もあり、新聞取材は、当方の話したことのほんの一部を、記者のセンスで切り取ることになる。従って、記者の関心が記事をかたちづくることになる。いつもながら本意と少しずれたりして、釈然としないことになるが、いたしかたないことではある。 span>
2、 以下は僕の感想。(知り合いに送った文章です)
昨夕、4月20日に開催された「北海道の教育を守ろう」緊急集会に参加してきました。
高等学校教職員組合センターの4階ホールが満席で入りきらないほどでした。
この日には、当事者の教職員(高教組、義務制の教員、北教組組合員の方も)だけではなく、国公労、道労連、新婦人、革新懇、国労闘争団、自由法曹団など他団体も多く参加していました。
新聞報道等でご存知と思いますが、今回の思想調査・組合活動調査は、
昨日の集会での実情を聞いていると、これは単に教職員に対する攻撃ではなく、個々の国民の市民的自由を奪う恐れのある甚大な挑戦と理解すべきと思いました。
周知のように、道教委は、この1-2年自民党の政治的な圧力に屈して、教員の授業への政治的介入、君が代日の丸の強制の徹底と処分などを行ってきていました。民主党政権になっても、この事態に変化はありません。
さらに、今回の問題は、これまでのレベルを超えての極めて露骨で悪質な民主主義への挑戦と思われます。すなわち、北教組の政治資金供与問題を利用して、文科省、道教委、自民党(国会議員、道議員)が一体となって道内公立学校全教職員(4万人)に対して、憲法違反の恐れのある思想・組合活動実態調査を、校長・副校長による一人一人の教員に調査票の70項目ほどのすべてについて、面接式で強行してきています。(現在実施中)
これは、驚くべき異常な調査です。(昨日、調査票原本のコピーを入手)
主要な論点は、
1,組合つぶしの露骨な意図(不当労働行為である)
2,教職員の思想・信条の自由のあからさまな否定
3,上記を含む個人のプライバシー侵害など、憲法の人権的規定の
明らかな違反性。
4,自らと関わりなくても、他者の行為に関する密告を含む調査項目がある。
5,特定の政党の政治的圧力に、教育行政、教委が屈している。
などです。
これらの悪影響は、容易に想像できることです。
すなわち、①組合を敵視し、一般の人々の組合や市民運動への参加を避ける萎縮効果、②密告社会化による疑心暗鬼と陰鬱たる職場環境の招来、③地教委行政当局や校長・副校長等の管理職の二律背反的懊悩の増大、④子どもや親への教育不信・人間不信の増大等々です。
黙っていないで、何かのアクションを起こす必要を感じます。
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