11月3日(水)
この日は、午前は、イーストリーズ地域、シークロフト(SeaCroft)地区にあるデニースヒーリーセンターに出向く。
考えて見れば、高等教育を除く、成人教育調査関係では、この地域については、直近では、2003年の調査で、イースト・リーズファミリーセンターやワンストップセンターの成人学習センター、ノーザンカレッジを、2006年調査では、チャペルタウンのシュアスタートセンター、カーデイガンコミュニテイセンター、リーズコネクションズ、ノーザンカレッジ、2008年調査では、シェフィールドWEA、シェフィールド大学、この地域の社会的企業の動向、社会政策の動向調査、2010年2月には、シェフィールド大学、リーズWEA、チャペルタウンの成人学習ーセンターなどを訪問調査している。
イーストリーズは、リーズ広域市の中でも面積的にも大きく、貧困世帯やマイノリテイが集住している地域である。ブレア政権時に、社会的排除克服のためにいくつもの重点的パイロット事業が開始され、施設が設けられたりしていたが、予算の時限的配分、国予算から自治体事業への切り替えの中で事業継続が困難になり停止したり、広域的事業主体への転換、NGO的事業への移行が行われたりした。今回は、そうした政策や事業転換の中で、現在どのように実践がなされているのかを調査することが目的であった。
前日のシェフィールド行きでは、若干の時間遅れが起きてしまったので,この日は用心して、ホテルからタクシーでデニスヒーリー・コミュニテイセンターへ出向く。施設の名称は、この地域出身の政治家の名前からきているらしい。
少し早く着いたが、時間前に施設に入れていただき事前の説明を受ける。
http://www.breezeleeds.org/venues/94/Denis_Healey_Centre
http://informationforfamilies.dcsf.gov.uk/details.aspx?recordID=65946&recordType=FSD&category=001-1
コミュニテイセンターであるが、13-19歳のユースワークが主眼となっている施設である。
最初は、Neil Bowdenさんから、この施設の概要と特徴をお話しいただき、その上で当方からの質問を何点かあげて応答いただいた。
バウデンさんからは、Leeds Youth Serviceというリーフレットが要を得ているので参照してほしいということを指摘されたうえで、この施設11-19歳を視野に入れながら、とくに13-19歳が中心の施設である。ユースサービス事業は複眼的ターゲットを設定しているとされた。一つは、オープンな誰もが参加できるように工夫しているプログラムと、もう一つは困難を抱えているわかもの達に焦点をあてた活動プログラムの二重性である。両方のプログラムで重視しているのは、社会教育(Social Education)的観点であるとされた。思わず、Social Educationの含意を尋ねたが、危機(at risk)に直面しているわかもの達に、様々な社会的な学習支援を行うという意味のようだった。バイクのメンテナンス(警察から無償で放置自転車を譲り受け、若者がパーツを組み立てて、完成車は作業した若者に譲渡する。)プログラムや、ミュージックプロダクションプログラム、スポーツリーダーシッププログラムなどが紹介された。中には資格認定も含む内容もあり、その運営や企画はわかもの達自身が自主的に行えるよう職員やボランテイアスタッフが援助している。これは、ニート状態の若者、ドラッグやアルコール、家庭内危機に直面しているわかもの達がともかく楽しんで参加できるように工夫していること、マイクロバスを3台運行させており、その中にはプライバシーの配慮をきちんとさせたカウンセリング席などもあること、10代の妊娠や10代に母親になってしまった(様々な理由や原因で)女性への支援、男子青年の性に向き合う援助、事業の使途そのものをわかもの達の討議で決定できるプログラム開発など、面白くて夢中になったり、有用な知識や情報を提供していること、そのためにスタッフは街中にでかけてわかもの達に声をかけてセンターの存在を訴え、プログラム参加を組織しているなど具体的な事業をきいた。同センターでは150プログラムを用意し、週末や休日、夜間の開設にも力を入れているとのことだった。
手前がフィリップ、真ん中がロバート、もう一人は見習い研修中のスタッフであった。見習いスタッフは、トランプ手品が得意であり、我々にも披露してくれた。またロバートは格技のベテランで幾種類もの資格保持者でもあった。こうしたスキルは、ユースワークスタッフの力量に厚みを加え、かつそれぞれが教職などの資格に加えて、社会福祉、ユースワーク、コミュニテイワークなどの資格をもち、それが学校以上にわかもの達の支援に魅力を付け加えたり、視野を広く持ち、柔軟な対応を可能にさせる要件となっていた。
バイクプログラムの実施をおこなう工房作業室。
女性スタッフが軽食を用意して下さった。
デニスヒーリーセンターを辞して、タクシーで次はメリオンハウスにあるリーズシテイカウンシル(市役所)の社会福祉・教育部局(Education Leeds)に向かう。http://www.educationleeds.co.uk/
応対して下さったのは、Richard Amissさんだった。この人も、主として13-19歳の若者支援部局の専門家であった。リーズ市は、自治体の行政サービス範域としては英国では、ロンドンを除き、バーミンガムに次いで大きな地域であるという。(マンチェスターは別の自治体範疇となる)自治体としては、2つのスピードという異なる顔をもつという。すなわち、一面では、繁栄・発展としての、他面では、貧困・停滞という面である。その上で、連立政権後の自治体の再編、予算削減が急激で厳しい局面にあることを指摘された。LEAとしては、 Education Leedsをもつが、今後は総合行政としてChildren Serviceに一元化されるだろうという。その他多くを聞いたが、ここでは省略する。
リーズ市役所での訪問インタビューを終えて、今度は友人たちが待つヘデイングリーのアルカデイアにタクシーで移動する。渋滞が激しい時間帯だった。
コリンもケビンも元気で安心した。ケビンは難病を患っているが、この日は元気であった。コリンは前日にフランスから戻ったところだった。
ケビン・ウオード、コリン・ソーン、キース・フォレスターさんたちと別れて、今度は夕食に近くのフィッシュアンドチップスで有名なブライアンという名のレストランへ皆を案内する。
白ワインとともに、各自はメインデイッシュを注文。院生のM君は、無論ジャンボサイズのフィッシュアンドチップスを注文した。
それぞれの料理は美味で、皆大いに語り、飲み、食べ、満足した。
ホテルに着いて心地良い疲労であった。
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