8月9日から8月15日まで、韓国に行ってきた。今回は、前半は、韓国農村生涯学習調査、後半は国際シンポジウム参加であった。やや日誌風に書けば次のようなことになる。
8月9日(日)
新千歳空港からソウル・インチョン国際空港へ大韓航空でのフライト。今回は、2つの科研の合体調査で、教員と院生の大人数である。同じフライト便に、農学系の知人が韓国での別の国際シンポに参加とのことで短い会話を行う。2時間半のフライトで時差がないのは助かる。北海道からだと、福岡などへの国内移動とほぼ変わらない距離と時間だ。むしろ短い。(ちなみに、調べてみると、新千歳-ソウル間は856マイル、新千歳-那覇間は1398マイル、新千歳-福岡は883マイル)
インチョン空港に着くと、公州大学校のヤンビョンチャン先生が出迎えて下さっている。卒業生のK・ボランさんと院生のイン・ドウンウオンさんも同行され、公州大学校のスクールバスが用意されていた。インチョンは31度Cで、台風の影響か蒸し暑い。
この日は、高速道路を使い、一路公州大学校に向かう2時間余の移動だ。夕刻に、大学近くに着き、ゲストハウスに入る前に夕食となった。韓式料理は、野菜類たっぷりのスパイスのきいた健康食である。
この日からは、この1-2年の間に建てられた、新しいゲストハウス(学生及び留学生寮を兼ねるの16階が宿舎だ。
旅装を解いたばかりの乱雑な状態をお見せしてお許しを。畳式で数えると20畳ほどの広さだろうか。エアコンが付き、シャワー・トイレ、冷蔵庫、流しキッチン(電磁式プレート付き)、ベッド、机、キャビネット型タンスが備え付きだ。食器やその他必要なものは購入が必要だろうが、これならば長期滞在が可能な居住条件ではあろう。大人は多分一人使用が快適ではあろうが、学生ならば二人使用も許容範囲かも知れない。日本の学生寮は、やはりその数も施設水準も、大学の本気になっての整備も遅れているように思われる。翌朝は、この寮の食堂で朝食。韓式朝食。白米、キムチ、大根スープ、辛子味噌風煮魚、それに牛乳のメニュー。白米とキムチは毎日付くが、後は日替わりで変化するようだ。夏休みらしく、集団のロシア人学生や日本人学生のハングル語の語学研修生、学会があるのか各国からの研究者が滞在していて混み合っていた。
8月10日(月)
朝食後、バスで移動する。スクールバスが、今日も我々の調査に提供されている。有り難い限りで、多謝。総勢10数人のグループだ。この日は、韓国農村教育現場の訪問調査だ。まずは、1時間ほど移動して、清原郡「教育文化連帯」という、NGOグループによる農村教育文化共同体づくりの実際を訪問しに行く。玉山地域児童センター、地域子ども図書館、が午前の訪問地である。
教育文化連帯の事務局長のイチャンヒ(男性)さん、それに玉山児童文化センター長(女性)から、活動の全体像の説明を受け、質疑を行う。「教育文化連帯」は、地域住民のボランテイア、職員、住民自治委員会、コミュニテイビジネスを行う社会的企業からなる活動体である。職を失った人たちの仕事おこしでもあり、国の労働部からの補助金、企業・個人からの寄付金、食虫観葉植物の栽培などの収入などを基盤として運営している。代案学校1校、小さな子ども図書館8カ所、文化芸術団体施設1カ所、成人向け講座3カ所、多文化国際結婚家庭向け講座4カ所を運営し、全体として農村部における疎外階層支援を、仕事の提供、社会教育(平生学習)事業、子どもの文化活動提供などを通して行っているという。住民と共に創る社会教育の場であり、地域文化祭には地域の人々が500人くらい集まって盛り上がるという。
コミュニテイ子ども図書館への移動で鉄道踏切を横切る。農村風景は、日本とほとんど変わらない。
地域子ども図書館は、館長個人の家を提供したもので、館長は自分の子どもの読み聞かせ、子どもの本研究会などでの活動を通して、文庫活動さらに、子ども図書館をつくる決意をしてきたという。活動のイメージは、日本の子ども文庫活動などから学んだことも多いという。館長の連れ合いは、現役のKBSテレビのプロデユーサーでもあり、理解があり、当人たちは、近くのマンションに転居してこの館を運営している。私立コミュニテイ子ども図書館の8館は相互ネットワークをとっているが、公共図書館とは連携関係にはないという。この子ども図書館は6000冊ほどの蔵書、(中には各国の絵本のハングル語版のコーナーもあった)で、館長個人の蔵書に加え、寄付や、寄贈書、年間購入費からすこしずつ増やしている。また多様な、子どものための活動も年間行事の中に組み込んでいるという。例えば、地域の人々との歌の会、多文化家庭女性へのハングル講座、メデイアを使った自分史つくり、キョウオン大学の協力を得ての子どもと母親が一緒に遊ぶ活動、音楽会などだ。開館時間は、月-金、朝10時ー6時という。
教育臨床心理グループは、別の場所に調査に行ったので、下記がこの日行動を共にした日本の研究者・院生と韓国側の院生・教員、それに訪問先の子ども図書館館長、そして教育文化連帯事務局長のイチャンヒさんだ。
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