GW明けの週末は、夜間の原稿書きの他は、日中は、講義、会議、研究会などでびっしりだった。
5月6日(木)
午前は、大学院修論指導ゼミ。午後、早い時間に大学のweb更新を行う。その後は、学部ゼミ。休学していたI君が復活してくる。留学生、研究生、現役の学生など8人の陣容に教員が2名の体制になった。
5月7日(金)
原稿書き、午前一杯かけるが、途中だ 。
午後、大学で会議が2つ。
終了後、雑務処理でしばらく研究室に滞在。
5月8日(土)
午前に大学にて、「地域再生」科研の研究会。秋の英国調査の計画を報告する。午後の用件のため、途中で失礼する。
その後、「こどけん」総会及びその後のシンポジウム「こどもにとってやさしいまちとは?」に参加すべく会場の「かでる27」に移動。小雨がぱらつき、やや小寒い天候だ。
シンポに先立って、滝川いじめ自殺裁判事件での遺族の方から、裁判での支援のお礼の挨拶があった。
シンポジウムは、司会は粟野正紀さんが進められた。学生の方との事前の準備など丁寧な進行に多謝である。シンポジストは、子どもの権利救済委員の市川啓子さん、子ども未来局の野島さん、それに二人の大学生(現在の子どもの権利委員会委員と元子どもの権利条例検討委員会委員)のSさんとOさんに加わってもらった。
市川さんからは、大学の研究者であり、臨床心理士でもある専門家の立場から、札幌市子どもの権利救済機関の過去1年間の相談状況のデータが報告され特徴が指摘された、また現在の「子どもアシストセンター」の活動概況が話された。(詳細は、追記を参照されたい)
野島さんからは、これまでの仕事の略歴とそこで学んできたことと今の仕事との相関性、現在の仕事のやりがいと責務を語られた。とくに強調されたのは、条例の内容の普及宣伝、アシストセンターの役割の重要性の認知度を高めることであった。また、今困っている子どもの救済というスピード感ある行政役割と他方では、今の子どもたちが将来大人になっていくことを支援していくという長期的見通しに立った課題の二側面を共に追求しているとされた。さらに現在行っている「子どもの権利意識調査」(約1万人に行い回収率30数%、近く報告書がまとまる)の中間報告もなされた。
二人の大学生からは、それぞれに高校生の頃の委員としての活動(0さんは現在も引き続き委員を行っている)から感じたこと、そして現在考えていることからのスタンスから、市川さん、野島さんに質問を行っていただいた。それぞれに重要な指摘があり、大いに学ぶことができたといえる。
後半は、一般参加者からの質疑に対してのシンポジストとの応答となった。いくつもの質問がなされて、これまた意義あるものであった。
最後の挨拶をした僕は、おおよそ次の成果があったことを述べ、同時に、4人のシンポジストの方々、司会の粟野さん、それに参加者の皆さんにお礼を申し上げた。
①今回のシンポの参加者が60余名であり、用意した資料がなくなったほどに多くの参加者を得た。多様な方々が参加され、遠くは名古屋、旭川などからの参加者もあり、重層的なネットワークの広がりを感得できたし、またそのつながりを大事にしたい。
②アシストセンターのこの1年の活動全体が把握でき、多くの相談ケースがこのセンターの役割の重要性を示した。また第三者機関としての役割が発揮でき、調整機能も重要なものとなっていることが示された。メールによる相談なども当初の危惧よりも実際に運用して成果があったことなど教訓も多く知ることができた。
③子どもの最善の利益のための条例ということを、まず自治体職員が、教員が、そして大人・親が学ぶことが重要であり、そのための機会や研修、学習の場がもたれていくこと。今日のシンポもその一つであると思われた。
④子どもの権利意識調査**でも、子どもの権利が守られていないと子どもも大人も共通に高位に上げたのは、a、いじめ、体罰、虐待などから子どもは心も体もまだ守られていない、b、国籍、性、障がいなどの差別禁止が守られていないということであった。今日のシンポで会場発言でも、朝鮮高校の授業料無償措置の除外、フリースクールの子どもたちの健康診断の無償の除外など、実際上の問題も多く指摘された。自治体で解決可能なものとそうでないものがあるであろうが、実際の改善が不可欠である。
⑤子どもの権利委員会による子どもの権利計画の策定に大いに期待が寄せられている。委員の方々のご健闘を皆で支援していきたい。
⑥子どもの権利救済では、学校での問題の救済・相談だけではなく、家庭の問題が絡む事例も多い。現代の家族と子どもの貧困が重くのしかかっている。総合的な施策と行政、学校、家庭のつながりをいかに有機的に働かせるか。大いに、考えていきたい。
シンポ終了後は、会場近くで懇親会が行われこれにもかなりの人数の参加があった。
** 北海道新聞 5月19日記事
札幌圏
子供の権利条約で札幌市が初調査 46%「順守されていない」
(05/19 15:08)
札幌市子どもの権利条例についての市の初めての調査で、条例に定めた「いじめや虐待、体罰などから守られる」権利について、子供の46%が順守されていないと感じていることが分かった。市は「深刻に受け止め、相談機関の周知に努めたい」としている。
同条例は昨年4月に施行。国連の子どもの権利条約を具体化し、21項目の子どもの権利を定めている。
調査は抽出した計1万人を対象に今年3月に郵送で行い、3846人から回答を得た。質問は小学校高学年、中学生以上18歳以下、大人(19歳以上)の3区分で設定した。
条例の21項目の権利それぞれについて、順守されていると思うかを中学生以上に聞いたところ、順守されていないと回答した割合は「いじめ、虐待、体罰から守られる」が最も高く、18歳以下は46%、大人は38%。18歳以下の2位は「障害、民族、国籍、性別などで差別や不当な不利益を受けない」で32%(大人31%)だった。
また、条例を知っているかという問いに「知っている」か「少しは知っている」と答えたのは小学生が12%、中学生以上18歳以下が13%、大人が16%といずれも低かった。
市は条例に基づき、子どもアシストセンターで相談や調査、救済を行っている。相談は平日午前10時から午後8時まで(土曜は午後3時まで)。子供用はフリーダイヤル0120・66・3783、大人用は(電)211・3783。メールでの相談は[email protected]へ。(青木美希)
市川さんの報告された札幌市子どもアシストセンターの2009年活動概況
アシストセンターは、14人体制(救済委員3人、相談員7人、事務局4名)
一つのフロアーを仕切っているので、空間的制約などはある。
6月はじめに1年間の報告書を出すが、昨年4月から今年3月までの相談結果は次の特徴があった。(概要のみ)
1,相談件数
総数は、前年2950件に対し、3571件で、その内実数は約1.7倍であった。
2 相談方法
電話908件(のべ1649、45.9%)、メール356件(のべ1778、49.5%)、面談14件(のべ139件、4.4%)であった。
面談は、ワンフロアの制約もあり、電話やメールの補助手段と位置づけ。
3 相談者
子どもの相談は1942件(54.1%)、母親は1408件(39.2%)、あとは、親族47件(1.3%)、学校49件(1.4%)、父親61件(1.7%)、その他84件(2.3%)
子どもが半数を超え、母親が次いで多い。父親は少ない。
4 相談時の調整活動
41件(のべ115回)であり、調査調整先は学校28,児童相談所9(内虐待通報7件)、その他4
5 申し立て件数
3件
6 相談者「子ども本人」の学校区分
小学生372件(19.2%)
中学生996件(51.3%)
高校生332件(17.1%)
などであった。
7 相談対象者
男 1160件、32.5%
女 2198件 61.6%
8 相談内容
学校生活 1893件 53.0%
施設生活 10件 0.3%
性格行動 423件 11.8%
身体的問題 106件 3.0%
対人関係 135件 3.8%
不良行為 56件 1.6%
その他 312件 8.7%
家庭生活 636件 17.8%
詳細は省略する。
これらの分析は、報告書刊行以降、こどけんでも学習することにしよう。
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