暑気払い。「あつさをはらいよけること」(広辞苑)の意である。英語でも forget [beat] the summer heatというらしい。 本州では、僕の経験では、この言葉通り、前期の最後の教授会の夕方とかその週くらいに、飲み会を設定して暑さを払った。外気温が35度を超えるなどの日にエアコンが適度に効いた空間での懇親もまた楽しかりきだ。前任校だったS大、前々任校だったA大のいくつかのシーンがなつかしい。 北の当地でも一応「暑気払い」の趣旨にあわせた行事が組まれる。今年は、その第一弾は、日韓シンポ後の士別調査終了後(22日夜)の所属部局の暑気払い懇親会だった。大学近くのAホテルが会場。担当の幹事役の方々が苦心して会を準備されていた。僕は、士別調査から、幾人かの人を乗せて、これに間に合うべく戻ったが、帰宅して車を置いてくる余裕がなかった。無論、飲酒運転は厳禁。考えて、その日の夕方、たまたま知人と夕食を済ませてくることになっていた細君に、車に乗っていってもらうことを前日に頼み込んで、了解済みだった。 士別から急いで戻った趣旨は、士別調査に参加した韓国の方々と-彼らは別ホテルにチェックイン後であったが-一緒に参加することだった。また、我が部局のファカルテイメンバーと親しく話してもらうねらいもあった。セメスター終了前後に、このようなパーテイを持つのは、韓国でも同様のようだ。韓国の方々は、帰国前夜であったので、その夜、別の企画もあり、中途で退席されたが、挨拶で今後の研究交流の発展を誓って乾杯(コンペイ)した。この夕べのために韓国から持ってきていただいた安東焼酎(45度)のビンテージ酒(特大サイズ)は、参加者一人一人に振る舞われ、上品で透明な味わいに皆感動されたのは良かった。 翌日は、早くから、改修工事のための一時引っ越し荷造り作業再開だ。研究室の書架の本や部屋の一切を25日までに、移動できる体制が改修工事担当委員会からの厳命だ。僕は、日韓シンポや授業その他で、荷物づめの作業はまったくといってよいほどできていなかった。遅れを取り戻すべく、3日間の短期集中肉体労働の開始だ。こういう作業は、段取りとマン(ウーマン)パワーが勝負所。今の時代、日本人の学生、院生は、こういう研究室という共同空間の引っ越しの協力のための労働奉仕の意義が理解できないのか、個人的な引っ越しと同じと考えるのか、バイト代をもらえたら、もしくはもらってもいやだと率直に言う。こういう風潮が、たまたま今所属している日本人学生・院生メンバーの個性なのか、一般的な現象なのか僕には良く分からない。ただし、前の2つの大学ではなかった現象だ。一部の学生には食事提供と薄謝を払ったが、お金よりも、なんだか気持ちがわびしく感じた。教員の思いと学生の思いが必ずしも意が通じていないことはたびたびあることだった。僕の担当教育分野以外に、僕が実際に行っているさまざまな活動分野を理解できない、あるいは接することのない学生や院生には、真の意味での共感関係を築き、影響を与えることは難しい。(生涯学習、社会教育分野、子どもの権利運動分野などには、他講座の学生や院生は多く参加しているが、僕のグループの院生はいない)僕の教育力のなさかと、23日は、2人の留学生の献身的な協力があるだけに、いささかへこんだ気分だった。 24日は、授業があり、授業合間の殆ど孤独な個人作業と思ったら、代わりに協力してくれたのが、僕の指導を受けている留学生たちだった。25日も、この間の日韓シンポに協力してくれた留学生も加わり、中国からの留学生3人、モンゴルからの留学院生1人、韓国からの留学院生3人が惜しみなく作業に加わってくださった。共同作業を行い、昼食を共にして(無論好きなものを注文してもらい、喜んで支払った)、わいわい話し、一気に作業を進め終了した。(思わず万歳!が出る)皆、シャワーを浴びに一時帰宅してもらい、夕刻には、定例の研究会を行った。夕刻からの研究会には社会人の院生やポスドクの中国、韓国の研究者も加わり盛り上がった。そして、皆で、市内大通公園で開設されている主要ビールメーカー4社の共催のビアガーデンに出かけた。これぞ、北の地の暑気払い。昨夜は、花火大会もあったせいか、浴衣姿の市民の姿も多い。夜空をながめ、公園に流れる喧噪も、ひんやりした空気もさわやかだ。そして、ビールが最高においしい。 気持ちも皆が高揚したのか、どこかカラオケに行こうということになった。(時間が、少し遅くなったので、韓国からの院生と、社会人院生は帰ることになったが)移動の途中では、奥さんと一緒にベビーカーに赤ちゃんを連れた、韓国からの社会人院生のCHさんと出会った。彼も日韓シンポでは大いに協力していただいた。花火大会からの帰りという。赤ちゃんの顔が、眠そうではあるが、上気して良い表情だ。 久しぶりのカラオケでは、中国、モンゴル、日本の歌(今や、カラオケ店には、英語だけではなく、アジア各国語バージョンの歌曲集満載だ)が入り乱れて踊りやタンバリンも登場しはじけていた。荷物手伝いでは活躍できなかった日本人の学生・院生たちも、研究会以降の暑気払いやカラオケには参加した。楽しそうだ。現今の日本人学生には、まあ、こういうことから人間関係を築いていくことから始めるしかないのだろう。 韓国の人々もそうだが、中国やモンゴルの人々も歌唱力が半端じゃない。僕の下手な歌の何十倍か魅了する。9月に2年間のポスドクの研究を終えて帰国する北京師範大学講師のHさんも、実に歌がうまい。同じく、CHAさんも、KYさんも、U君もそれぞれに個性的だ。モンゴルのJAさんは、(意外にも!失礼)も、英語曲や沖縄の歌をしんみりと聞かせる。2時間があっという間に過ぎて、終電もなくなり、僕はタクシーで帰宅したが楽しい一夜だった。 昨日から連れ合いは、愛知での母親大会参加。飼い犬シローの散歩は、昨夕はペットシッターに依頼。今朝から4日間は、僕の担当。眠気ざましの朝の散歩は気持ちよい。シローは元気だ。家の近くの川辺には、鴨の親子が歩いていた。よちよち歩きの小鴨たちの数が少し減っているのが気になったが、愛らしく見ていても飽きない。 空き地の野草が色鮮やかだ。 さて、今日は、いくつも仕事が待っている。そして、夕刻には、なるべく早く戻ってシローと散歩に行かなくては・・・・
先生のシローが可愛いね。
投稿情報: 李 | 2008年7 月28日 (月) 00:11
どうもコメントありがとう。
今日も、これから散歩です。
投稿情報: | 2008年7 月28日 (月) 07:00