この地にも、遅い春が訪れつつある。
先週末は、研究室の最後に近い片付けを土日も行った。少しは、研究的環境に転じつつある。
4月12日の日曜は、道立美術館での春の特別展の最終日でもあったので、出かけてきた。「セザンヌ主義」と題した展示である。会場には、ポール・セザンヌは無論、彼から影響を受けた多くの画家の作品が出展されていた。ゴーギャン、マチス、ピカソ、ブラック、モデイリアーニをはじめ、安井曾太郎、岸田劉生、佐伯祐三など名の知れた作品が並ぶ。他にも多くの作家の作品が展示されていた。道立美術館会場は、横浜会場展示に次いでの移動であり、最後になるのかも知れない。http://www.kersol.net/contents/500296/50029601に横浜での展示の解説がある。
「近代絵画の父」とされるセザンヌは余りにも有名で、教科書などにも出ていたので既知のことが多いかと思っていたら、意外に知らないことも多かった。英国のナショナルギャラリー、パリのオルセー美術館などにも僕は幾度か足を運んだが、こうして日本でも本物に接することは思いこみを防ぎ、認識を重層的にさせてくれて良いことだ。僕は夫人の肖像画やガルダンヌという小さな村を描いた作品が印象に残った。日本の作家の中では、佐伯祐三のパリに渡った直後の若き自画像(彼は30歳で夭折したが)も強く心に残った。
三岸美術館や知事公館にも柔らかな陽があたって気持ちの良い休日であった。
月曜からは先週に続き、授業が目白押しだ。開講間もない今は、教師も学生も互いにフレッシュな気分になっていて、楽しいものだ。夕刻には、子どもの権利条例市民会議の4月例会があった。10数名の参加で、五月総会やシンポジウムの企画が話された。新しく加わっていただいた、Aさん、Mさんなど、新たな陣容での第二期「こどけん」開始である。
火曜の今日は、持ちコマの高等教育論に続けて、留学生向けの英語での講義プログラム(HUSTEP)も今週から始まった。北米(米国、カナダ)、欧州(フランス、フィンランド、他)、アジア(韓国、中国)が大半で、一部に日本人学生が参加している。僕を含めて、3人の教師のオムニバス形式の講義だ。
それが終わってから、学内に小さな春探しの散策に出た。今の季節は、端境期で、観光客も少なく、新入生歓迎のフィーバーもやや収まって静かな時間がキャンパスに流れている。小さな花や、フキノトウの終わりかけ、ポプラの芽ぶきがやや感じられる程度であるが、この時期を過ぎると一斉に開花が始まるのだろう。
有名な新渡戸稲造の胸像だ。「我、太平洋の架け橋たらん」という彼の意気込みが刻まれている。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。