先週10月15-16日は、勤務校の僕の所属する部局ともう一つの部局が共催する、第3回北海道地区SDセミナー「大学職員の働きがいとキャリア形成」を行った。この地域の国・公・私の大学職員を対象としての企画である。僕も主催者の一人である。昨年までは、週末セミナーもしくは、2日間の場合も日帰りの形式をとったが、今年は一泊二日で、かもい岳温泉ホテルを会場としてのセミナーであった。会場は、札幌からバスで約1時間半の歌志内市のスキー場近くに位置している。企画立案、予算措置などの準備は1年前からだ。そして、実際の実務的な内容については、およそ半年前から準備して、H大学事務局やこの地域の私立大学協会、SD研究会等に働きかけて、協力・同意を頂いて、今回は、道内11大学(国・公・私)22名の参加者があり、スタッフや学習参加の院生、ゲスト講師を入れると35名の参加体制であった。
事務局長挨拶、などを頂いてからバスで会場へ向かう。
事前アンケート結果では、参加者のプロフィール特徴は、以下であった。①年齢は、30代が一番多く36.4%、20代と40代が27.3%、50代が9.5%、②所属大学は、国立大学・高専が59.1%、私立大学が31.8%、公立大学9.5%であった。③大学事務職員としての経験年数は、10年ー20年未満が36.4%、5年未満が31.8%という2極を示し、5年ー10年未満が13.6%、20年以上が18.2%であった。 ④現在の仕事では、教務・学生係36.4%、総務・企画18.2%、財務・会計9.1%、国際交流9.1%、技術9.1%、その他27.3%であった。⑤大学事務職員としての研修機会は、1年に1-2回ある59.1%、1年に3回以上ある13.6%、2-3年に1回ある9.1%、その他18.2%であった。⑥研修機会は十分あるかについての意識調査は、少し不十分31.8%、ほぼ十分27.3%、まったく不十分22.7%、十分ある18.2%で、<ほぼ充分ある+十分ある>が45.5%、<少し不十分+まったく不十分>が54.5%で、研修機会意識はほぼ二極化した数値であった。⑦研修や継続教育の希望では、単発の講演会・講習会に参加してみたい36.4%、大学院に大学職員のための継続教育のコースがあれば入学してみたいが31.8%が多く、大学院レベルの公開講座やセミナーに参加してみたい13.6%、今以上の研修や継続教育を希望しない18.2%であった。ここにも、長期、短期は別にして積極的希望を抱く職員が約8割を占めるが、これ以上研修は希望しないが2割弱あるのも留意された。(もともと研修などに出たくない人は、このセミナーには参加しなかったであろうから)、⑧研修・継続教育の方法については、大学関係者以外の講師や講義を聴いたり、交流する59.1%、ワークショップなど職員同士の話し合いや交流をする50.0%、大学の実務家の講義を聞く45.5%、研究者の講義をきく4.5%、その他4.5%であった。ここからは、実際に役立ち、経験交流の話し合いができ、異業種からの刺激を受けたいという希望が多いことが伺えた。
プログラムでは、これらをすべて充たすことにはならなかったかも知れないが、下記のことを最大限配慮した。①講師は、道外からゲスト講師を招き、実際上の知見を全国的な観点から紹介してもらう。②ワークショップを重視した対話と交流をメインとする。そこでは、実際上の悩みや希望を出してもらう。③合宿研修方式であるので、夜の交流では本音のインフォーマルな話し合いをしてもらう。研修でのつながりが今後のネットワーク財産となるようになればよい。④時間の進行はきちんと行うが、あまりタイトな詰め込みプログラムにしない。⑤事前の要望調査結果については、講師にその内容をあらかじめ伝えておく。⑥スタッフは裏方、サポート、求めがあったときのアドバイザー、ファシリテーター役に徹する。幸いセミナーの両日は快晴。ホテルの自然環境は抜群。一足早い紅葉気分を味わえた。また、温泉につかり、地産地消型の自然素材にあふれた食事も好評であった。
ゲスト講師の一人は池田輝政氏(名城大学副学長)。この日は、「大学改革と職員の本気度」というタイトルの講演。池田氏には、過去に幾度か調査などでインタビューに協力いただいた。実際の大学運営上の教職協働の事例、職場内コミュニケーションについてお話しいただいた。ただし、副学長という立場からの視点、大学での新学部創設に関する学内意思決定の組織化という問題も含んでいたので、コミュニケーションの必要性という一致点はあったであろうが、トップのリーダーシップによる大学方針への理解を学内に浸透させるという点については、参加者には、多分に賛同と違和感と両方があったかも知れない。主催者側としては、大学経営トップの思考と行動様式を知ることも重要であると考えてのことだ。
同じく他のグループのワークショップ。今回は4グループに分かれて、「働きがいとキャリア形成」について体験や知見に基づいて議論をし、意見を交流させた。
僕が付いたグループでは、働きがいを感じるときとそうではない場合の具体的な事例を出し合った。それらはお互いに分かりやすいものであった。とくに、その焦点は、
①<職場内コミュニケーション>:その良い例、悪い例、改善点や課題、
②<評価>:その手応え・公平性、成果主義的評価への対応、上司のありかた、いかに上司を育てるか、等々、
③<業務>:その内容の質と量、職場内協力関係、孤独や疎外を味わうことのないような適材適所の問題などに、討議の中心がおかれた。
国立大(他のグループには公立大の職員も)と私学の職員、ベテランの職員、中堅の職員、昨年採用されたばかりの職員が共に討議を行い、認識を共有することは大事なことであると思われた。
第二講演は、志水章人氏(大学コンソーシアム京都事務局次長)の「大学職員に求められる能力とはどういうことか-大学コンソーシアム京都におけるSD研修から-」というテーマでの事例紹介型講演であった。主催者側のねらいとしてはSD研修の具体的な先進事例を出してもらうことと、コンソ-シアム型事業のイメージと内容を知ってもらうことにあった。内容は、参加者には、おおむね好評であった。惜しむらくは、時間の制約もあったので、志水氏ご本人の大学職員としての成長にかかわるエピソードあるいは同種の他の事例をお話しいただけたらという僕の淡い希望は、かなわなかったことである。
下の写真は、全プログラムを終了し、参加者全員に、スタッフを代表してKさんから修了証書の手渡しを行った。感想文の分析や全体のプログラム総括はまだスタッフで行っていないが、帰りの車中の雰囲気は悪くなかったと思われた。
今回の総括報告書は、近くまとめられていく。成果と課題も多いであろう。従って、当然に、この記事は正式のものではない。
いずれにしても、参加者の方々、ゲスト講師のお二人、一緒にセミナーを行ったスタッフの方々とともに、次のステップを築くことができたことを感謝し、喜びたい。
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