12月22ー24
滞在期間も最後の限られた数日となって、細君も来たのでクリスマス前のあわただしさの中で、限定した列車での移動を2日間行った。
最初はハリファックス。リーズから列車で30分程度の小さな町だ。かつて、繊維産業華やかなりし頃に、市の中心部に市場が立ち、衣類が売られる一大メッカだった町だ。ピースホールという建物が残り、その栄華を知らせる。映画Brass offでも使われた場所だ。しかし、繊維産業はその勢いは過去の物語となり、手織りの織物はもはや博物館としても微少な存在に変わってしまっている。ハリファックスに行けば、その何かの手がかりがあるのかと行ってみたのだが、やはり残念ながら今の英国にそれを求めるのは難しいようだ。町を歩き、雰囲気だけは味わった感じだ。
ピースホールの入り口門塀の模様。
12月23日
ヨークに行く前に、このところ不振が続く、リーズユナイテッド(フットボールクラブ)だが、そのグッズの土産を頼まれていたせいもあるが、本拠地スタジアムショップにタクシーで向かう。
タクシー運転手は、リーズユナイテッドは、成績不振で、今度監督が替わるが世界で一番難しい職業の一つがフットボールチームのマネジャー(監督)だという。勝てばもてはやされるが負ければブーイングの嵐。クリスマスプレゼントにリーズユナイテッドグッズを買ってもらうのは大歓迎と。地元ファンらしい気持ちのこもった会話だった。
ヨークへは、リーズからは、多くの列車の便がある。ロンドン-エジンバラ間の幹線の中での一つの重要観光駅だ。
ヨークについて今さら多くを書く必要もなかろう。観光案内には情報満載だ。僕も過去に幾度も訪ねている。今回は、ヨークが初めての細君に、つきあって、ヨークミンスター、ノルデイック・バイキング博物館、城壁上の道路散策、それに買い物だ。
クリスマス前の準備が整っている。イブと当日はヨークミンスターもクリスマスミサや関連行事で予定がぎっしりだ。
英国内4大聖堂の一つであり、欧州内でも著名なミンスターの一つだ。
ヨークミンスターを支える名家の紋様が動物をかたどったデザインで面白い。
バイキング博物館近くの道路。博物館は前回来たときとは違って、内部を乗り物に乗って移動していくスタイル。発掘調査にもとづく、9-10世紀の人々の暮らしが再現されていていて、興味深い内容だ。その内容や情報提供に多くの趣向がこらされていて、ニューラナークの博物館と似た工夫だ。
市内を流れる運河風の川。海と通じていてかもめが多い。夏はレストランクルーズが多い。
水鳥が浮かぶが遠方でその種類を確認できなかった。
12月24日ー25日
日本人大学院生のMK君と昼にクリスマスメニュー食事を、駅前のloch fyneで一緒にとり、多くの話を聞く。26日の食材や電気製品引き取りも行ってもらうので、宿舎に来てもらい確認をする。
イブの夜、11時半から1時頃までは、宿舎近くのカソリック教会にてミサに参加した。僕と細君は、特定の宗教を持たないが、そういう人も歓迎というので参加した。地元の数十人の方々が参加して、聖歌隊のコラールを聴き、一緒に歌った。そして、クリスマスイブの日に、今年起きた事件や時代に対する司教のスピーチを聞く。一つは、パレスチナの紛争の深刻な事態へ平和の希求が語られた。もう一つはハレルヤの意味についてだった。ハレルヤは今やクリスチャンだけではなく、音楽番組のプログラムの一つになり、x Factorの優勝者の歌として流れたり、アメリカの黒人たちのゴスペル曲として人々に親しまれ、それ自身はすばらしいことだ。しかし、本来はキリストと地上の人々をつなぎ、この世の痛みを引き取ったキリストの精神と新たな再生の喜びを受け止めてそれを表現する内容をもつものだと思う。この間の不況での多くの人々の苦悩を受け止めながら、一緒に賛美歌とハレルヤを歌いましょうというのが大筋の内容だった。僕も宗教者の良識の一つの見解と思った。この国の行く年来る年を振り返るような時間を、地元の宗教心の篤い人々と過ごせたのは、一つの良い体験だった。ムスリムの人々も、佛教の人々も、ユダヤ教の人々も、共通に平和を希求すること、それをいかに互いの違いを理解し合いながら文化や生活を尊重していくのか。道は易しくない。こうした時間が流れる教会のすぐ周りのいくつかのパブでは、遅くまでイブの夜に、放吟し、ビールを傾けている若者たちもいた。それが現実の姿だ。だが、希望は重要だ。そんなことを考えながら帰路についた。
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